Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第38弾 : BMW700LSクーペ
2023.9.28
Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第38弾 : BMW700LSクーペ
<BMW博物館にて>
今でこそ高級車メーカーとしてベンツと肩を並べるBMWですが、その発祥は二輪車と航空機用エンジン。その生い立ちをたどる展示、そのクライマックスとして自動車メーカーとして押し出しを強調する中段展示場の目立つところにBMW700LSクーペは展示されています。
イタリアはミケロッティのデザインの特徴的なテールフィンをわずか700ccのモデルで、実にかわいらしく形にしている!日本で言えばパブリカの発売に数年先行したBMW700ですが、エンジンはBMW二輪モデルから引っ張って来た空冷水平対向二気筒!
当時の技術レベルでは油や水をコントロールするのは難しく、冷却は空冷にして頭痛の種を少しでも減らしたいという事だったのではないかと想像しますが、ビートル・シトロエンなど大衆車は空冷モデルが多かったようです。
日本のパブリカが整備性や耐久性を重んじてFR形式を採用したのに、ビートルにしろBMW700にしろRRとした設計意図も興味深いところです。発売されてから60年近く、クラシックカーのDIYレストアではパブリカの方が扱いやすいと感じます。だってエンジンを下ろさずにミッションが外せるのはDIYでは断然有利ですよ。
<BMW700LSクーペ>
59/08-65/9 697cc32馬力 125km/h
<ミケロッティーデザイン>
テールフィンに特徴のあったミケロッティのデザインです。ちなみに筆者が世界で一番素敵なデザインだと感じて居るのは日野コンテッサ900スポーツスプリントです。テールフィンは無くなったもののミケロッティらしさを残したデザイン!当時の東京自動車ショーで見かけた筆者は間違いなくノックアウトされました。
*写真左上から時計回りにBMW700LS⇒トライアンフ・ヘラルド⇒日野コンテッサ900スポーツスプリント⇒プリンス・スカイライン・スポーツ。
<BMW R67>
イセッタ(実はイタリアのイソ社からのライセンス生産)には単気筒のR25から、そしてBMW700には水平対向二気筒のR67エンジンが転用されていました。現代のR1800に通ずるエンジンですが、見た目に分かる精度と品質レベルが具体化されていますね!
<BMWイセッタ>1959~1959
イタリアのイソ社からのライセンス生産でしたが本国より生産台数が多かったとか?戦後航空機エンジンの製造販売を止められたBMWが生き残りをかけて販売したもので、前二輪後一輪のトライシクルです。バブル・カーの一つとして数えられると思います。映画などを含めいろいろな場面に出てきますし、そのキュートで特徴的なスタイリングに魅了された人もたくさんいるようです。ステアリングホィール系を含め前ドアを開けて運転席に座り込み、エイヤーとドアを閉める感じ、そしてフロントウィンドワイパーのモーターが視界に入ってくる!それだけでも価値ありますね!
イセッタ250:1955年R25(空冷245cc短気筒OHV4MT)
イセッタ300:55/12 (空冷293cc単気筒OHV4M/T)
<BMW600>1957~1959
ミドシップだったのがリアエンジンに変わり、足回りも四輪形式に変更、エンジンも600ccに拡大、大人が4人乗れるようになりました。モデルの進化のスピードは世の中の経済発展のスピードを象徴しているように思えます。ユーザーがどんどん豊かになり、目の前の製品では我慢できなくなっていった感じ。でも未だ“ガマン車”のイメージからは抜け出していません。
空冷水平対向2気筒582ccOHV 19.5PS 4M/T
<BMW700>
豊かになったユーザーに応えるべく「より“本物”な商品としてBMW700が出てきました。最初はクーペで後からセダンやカブリオレが追加されています。BMWとしてもバブル・カーの延長商品では顧客要求にこたえるのは困難と見たのか、クーペとかカブリオレを前面に出したニッチ作戦に入らざるを得なかったのかな?BMW700シリーズの一つとしてロングホィールベース・スポーツエンジンのBMW700LSが追加されました。
*クーペ⇒カブリオレ⇒サルーン。
<BMW700RS>
当然レース仕様も開発されそれなりの成果を達成したようです。
<BMW1500ノイエクラッセ>
第二次世界大戦後の復興に沿った商品としてバブル・カー系統を脱し、1961年満を持してBMWが放ったのがBMW1500ノイエクラッセ(新クラス)!BMWを高級車メーカーに押し上げた原動力となったモデルです。当時の日本の国産車とくらべると別次元の性能!でもBMWの歴史では「急速な販売拡大に体制が追い付かず北米などでは評判を落としたことがあった」みたい。
その後2002ターボとかCSクーペとかM1とか、するするとBMWは自動車業界のリーダーとして成長していきました。
<オースチン・セブン>
イセッタがイタリアからのライセンスモデルであったように、BMWの最初の四輪自動車もイギリスのオースチン社からのライセンス生産でした。モデルはオースチン・セブン1927年発売、カナダで見かけた個体にも誇らしげなBMWのプロペラ(諸説あり)マークが輝いていました。
<BMW Mini>
BMW700の後継といえばミニが相当するのかも知れません。とても名前があっているとは思えない「大きなミニ」!BMWのマーケッティング戦略が垣間見えるモデルですね!
<本稿完>
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