Mic Seja車遍歴

Mic Seja Car history

Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第1弾:Bugatti・MicroCar 2020-07-29公開版

2020.7.29

Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第1弾:Bugatti・MicroCar

車漬けのサラリーマン生活を定年しウィンズ・オートの岩田さんに遊んでもらっていたら、「昔の話が面白いので何か書いてよ」言われて始めることにしました。

ペンネームはMic Seja(ミック・セーヤとよんで読んでいただきたい)、聖闘士・セーヤではなく、「小型車・すげーや!」をひねってMicro(マイクロ)Sugeja(すげーや)、それをちょっと整理してMic Sejaとしたもんです。

小型高性能車大好きフリークです。

本当は1000cc以下の小型高性能車としたいところですが、あまりにも数が(経験が)限られてしまうので1600cc以下、時に2000ccまでと言うことで一回1モデルの原則で書いていきたいと思います。

もう一つは一応車全体がボディーに覆われていることも条件の一つです。そうなると年代は1950年くらい以降に限定されてきてしまうのですが、覆われてさえいれば年代にこだわらないことにします。よろしくお願いします。

なお、掲載します写真は基本的にはMic Seja自身が撮ったものですが、自分のものがないときにはインターネットで拾ってきたものを載せることもあります。

1)ポーツマスからプレスコット・ヒルへ

前泊のポーツマスの宿を出発し、M23,M3、M4でホンダの工場のあるスゥンドンで右折、A419,A417,A435を経てゴザーリントン近くで右に入るといよいよブガッティ・オーナーズクラブへのマルソン・ロードに入ります。典型的なイギリスの田舎道、すれ違いがやっとのワインディング・ロードをひた走り。同じ場所で先行していた中年ご婦人の早いこと早い事。英国人の例にもれずブラインドカーブもほとんど速度を落とさずに突っ込んでいきます。「歩行者が出てこないかしら」とか先が信用できない日本の道と大きな違い。

途中は絵に描いたような農家とかそれだけでも楽しめる景色です。

突然、右側にプレスコット・ヒルクライムセンターと ブガッティ・オーナーズクラブのカンバンと入口が見えてきます。地元の人に倣ってブラインド・コーナーを楽しんできたワインディング・ロード・ドライブもここでお終い。

2)ブガッティ・トラスト

平日なので適当なところに駐車します。同じ場所にヒルクライム・コースとブガッティ・トラストが同居しているので、真直ぐ行けばプレスコット・ヒルクライムコース、右に向かうとブガッティ・トラストの入口です。木々の緑にブガッティのエンブレムが映え典型的なイギリスの色使い。うれしくなってきます。

ブガッティ・トラスト日本風に言うならブガッティ財団展示場とでもいうんでしょうか?入口で入場料£4.5(約¥675)を支払い入場。中は英国らしい落ち着いた雰囲気。スタッフの方の使っていたパソコンのスクリーン・セーバーもブガッティでした。ブガッティの前モデルを年代別に並べた年表もありました。

3)ブガッティの代表モデル

ブガッティの代表モデルと言えばType35グランプリ・カー、Type41ロワイヤル、そしてType57クーペ・アトランティークかなと思います。もちろん写真とか模型とか部品単品が展示場内に所狭しと展示されています。

蛇足ですが昔、晴海(だったと思うのですが)今は亡きハーラーズ・ミュージアムの出開帳(遠征展示)があったのですが、ロワイヤルやクーペがずらっと並んでいて圧巻だった記憶があります。残念ながらハーラーズ・ミュージアムは解散、展示車も世界中にばらばらになってしまったと聞いています。残念。

 

天才ブガッティは自動車に限らず飛行機や鉄道、その他まで才能を発揮していた様です。

   

レールカーの写真はWikipediaより抜粋

エトール・ブガッティは特別な美意識を持っていて、例えばシリンダーブロックなど曲線が自然の部分も無理やり直線で設計するなど大変な拘りがあったとモノの本にありますが、まさにその美意識が明確に示された部品が多く展示されていました。

4)ブガッティ・マイクロカー

ブガッティ・トラストの展示場の一番目立つ場所に一台の小さな車が置いてあります。小さい事良い事!さっそくスタッフの人に聞いたら「ブガッティ・マイクロカー」だと教えてくれました。なんでも1942年から1945年第二次世界大戦中、世界的に小型車への関心が高まり、ブガッティもこの車で売り出そうとしたとか?Bugatti Manufacturing社でプロトタイプ生産されたが、実際の販売は無かったとのこと。

①まずはエンジン、基本的には4種類の開発が試みられたと説明されていました。

Type68

318cc スーパーチャージド 4シリンダー DOHC4バルブ/シリンダー

Type68/B

370cc Volumetricコンプレッサー

Type68/C

ローテーティングヘッド(バルブなし)Lobeコンプレッサー

Type68/E

液冷(1946年Roland Bugattiが特許出願)

②次がミッションとフロア部です。

 

③三番目が全体像です。

全長3.82mでオリジナルのプロトタイプはスパイダー・ボディーだったそうです。

展示されていたのはエトール・ブガッティのスケッチを基に後年地域の工業専門学校生が作ったクーペ・アトランティーク風のアルミ製のクローズドボディです。

1963年にホンダのS500/T360が発売され、その精緻な531cc/354cc DOHC4気筒エンジンが「宝石のようなエンジン」として話題になり、S600をモナコのグレース王妃が買っただとか有名になったわけですが、それより20年前に318cc4気筒4バルブエンジンを造ろうとしたなんて、小型高性能車フリークの私Mic Sejaとしてはうれしい限りです。ホンダのT360トラックが354ccDOHC4気筒だったけど、それより小さい318ccで4バルブ!しかも各ポート独立のエキゾースト・マニフォールドが泣けてきますね!超うれしい!運転してみたい!

5)スタッフの方への質問

昼飯のパンをかじっていたスタッフの方に「質問していい?」と聞いたら、イギリスの人らしく「サートンリィー」と言ってくれたので質問をぶつけてみました。

Q:マイクロカーの企画はどんなもの?(Mic Seja)

A:当時世界的に大衆車開発の機運が高まり、ブガッティもその流れに乗ろうとしたものだけど、どう見ても安く作れる設計ではないよね。お前にもわかるだろう?

Q:ブガッティの工場はフランス(ワインで有名なアルザス)にあったはずだけど、どうしてこんなに図面がここにあるのですか?

A:ブガッティ・オーナーズクラブが集めたもの。図面を基にオーナーズクラブとして今でもスペア部品を造っているからね。

Q:噂ではそのスペア部品を使ったレプリカがたくさん走っているというけれど?

A:それは否定できない。でもブガッティ・オーナーズクラブのメンバーは皆さん紳士だからクラブ関係の車は問題ないよ。

6)謎の試作車

ブガッティ・トラストの隣にある有名なプレスコット・ヒルクライムのコースも見せてもらった後(コース見学記は次回に)その晩の宿泊地であるミッドランドに向かって走り出しました。来た時に走った田舎道を抜け、M6に出てしばらく、ちょうど夕方のラッシュに重なり結構な通行量。隠しカメラのスピード違反に捕まらないように慎重に走っていたら、ローバーらしき迷彩カモフラージュ車に遭遇。何となく得した気分になれました。

(ブガッティ・マイクロカー編 完)