Mic Seja車遍歴

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Mic Sejaの小型高性能車シリーズ臨時第1弾:ホンダ スポーツS600 2020-09-16公開版

2020.9.16

Mic Sejaの小型高性能車シリーズ臨時第1弾:ホンダ スポーツS600

<臨時号>

WINS AUTOの岩田さんからホンダS600が入ったので乗ってみてはとの有難い機会を頂きました。

<1>ドライブクラブ

あれは1967年! 当時 日本ではレンタカー会社なんてしゃれたものは未だ確立しておらずドライブクラブと言うのに会員登録をして会の所有する車を使わせてもらう方式でホンダS600を借り出し、日光まで出かけました。当時日光は登りが新しい第二いろは坂、下りが急第一いろは坂だったと記憶しています。第一はカーブがきつくあまりスピードが出せませんでしたが、第二の登りは60-80km/hの結構なスピードで走れた記憶があります。

(エンジン)

当時の普通の乗用車はせいぜい4500rpmくらいで頭打ちでしたが、S600は9500rpmがレッドゾーンの始まり!とにかく異次元を感じさせてくれるエンジンでした。ただ、キャブレター方式なので気圧の影響を受け、いろは坂の上ではアイドルが安定せず騙し騙しエンストを避けていた記憶があります。

(トランスミッション)

前進4段・後退1段、1速はノンシンクロ。第二いろは坂でもちょっと前の車が詰まったりするとトルクが足りなくなり当たり前にシフトダウンしていきます。2速まではシンクロがついているので問題ないのですが、それ以上に速度が落ちるとエンストしそうになります。最初はちょっと止めて1速に入れて走っていたのですが、格好悪いので、ダブルクラッチを踏んで回転を3500rpmくらいまで上げて1速に無理やりシフトダウンしました。スバル360で練習していたとはいえガリガリと拒絶されるかと思いきや、意外にスムースに1速に入ってくれてニヤッと顔を緩めたものです。1速に入ってくれれば9500rpmまで伸びるエンジンでぐんぐん上ることが出来ました。

(バイアスタイヤ)

当時はラジアル以前で、スポーツカーS600と言えどバイアスタイヤをはいていました。

<2>ウィンズS600

大変にきれいな個体で、エンジンも電磁ポンプを回してガスをキャブに入れた後、一回アクセルを踏み込み、アクセルを話してセルを回すと一発始動。見るだけでもうれしくなるエンジンと、なんといっても初期ホンダSの特徴のチェーン駆動リアサスペンションがうれしくなります。

エンジンは特に点火系が強化されており、低速トルクがOEに比べてモリモリ! エンジンルームも大変きれいです。

インパネ回りも綺麗そのもの!ペダル類はチェッカー度プレートに変更、フットレストも使い安く良い感じでした。

外板関係のチリ合わせも綺麗なものです。

50年以上前の車なので、鉄板部分は相応の手が入っていると考えるべきでしょう。

  • ドライブインプレッション

(エンジン)

点火系が強化されているためか、低速トルクがOEとは比較にならないくらい豊か!平地ではアクセルに応じてブワーンと更けてくれたエンジンですが、気圧の薄い高地では加速ポンプ容量のミスマッチが原因かアクセルを踏むと「フ・ブワーン」と一呼吸躊躇してくれました。キャブの弱点ですがオーナーになったらジェット類を常備してきめ細かく調整してあげたいと思います。この一息躊躇がノンシンクロ一速へのシフトダウンをちょっとながらやりにくくしてくれました。

老体に敬意を表して、8500rpmまでに抑えて走りましたが、とても気持ちの良い更けあがりでした。点火系チューニングは大変価値があるように思います。岩田さんは9500rpmまでガンガン回して走ったそうです。

(チェーンドライブ)

45km/hから55km/hでうなり音が生じていました。チェーンテンションバーだと思いますが早いうちに原因を特定しておいたほうがよさそうです。

(ハンドリング)

中速コーナーでアクセルを踏み続けると、最終的にはリアがきれいにブレークしてくれました。当時モーターファンか何かに載った「ホンダSでの鈴鹿攻略法」ではチェーンドライブの弱点とか、縁石にホィールを引っ掛けると鉄チンが割れるとか脅かされていましたし、S800後期型ではリジットアクスルに設計変更されたので限界では問題があるのでしょうが、私のごとき老体が峠道を責めるにはパワーと言い、比較的低速でブレークする性格が丁度良い感じでした。ポルシェとかマクラーレンなどは電子仕掛けも含めてとんでもないコーナリングスピードなのでコントロールを失敗すれば新聞記事になってしまいますが、ホンダSは普通人にはちょうど良い「スポーツカー」ですね。

(外観)

ちょっと休憩で駐車場で眺め直してみると、リアのラッゲージドアの合いが悪く感じました。ウエザーストリップのストロークを超えるミスマッチですので、何らかの対策をしたほうがよさそうです。

<4>チェーンドライブのジャッキアップ現象

宣伝とか雑誌の記事で「アクセルをOnにするとリアが持ち上がる」と刷り込まれていたので期待?しましたが、この個体で改めてトライしてみると気にならないレベルだったのには驚きました。ばねが固められているのか、それとも刷り込みの誤解か?

普通の車だと、アクセルOn加速でフロントUp、OffでリアUp。この荷重移動でドリフトの切っ掛けを作ったりするわけですが、私にとっては旧車のボデーを路面異常から守るテクニック。大昔サファリラリーでの必須テクニックとして雑誌に紹介されていたテクニックです。

老体S600もこのテクニックで路面の凸凹(主にアスファルトの継ぎ目)の衝撃から車を守ろうとしたのですが効果なし!Onでのリアジャッキアップの影響なんだと納得してみた次第です。

<5>バリエーション

<6>1960-70年代の国産ツーシーター

当時を代表するスポーツカーとしてはホンダS・ダットサンSR・ヨタハチが代表選手かと思います。

*「専用メカとエンジンのホンダS」

アルミとか樹脂ガラス等材料の軽量化と専用低空気抵抗ボディー「軽さと空気抵抗のヨタハチ」・

*「4人乗りのエンジンに二人乗りのボデーのSR、結局エンジン排気量を拡大」

今回ホンダS600を一日乗り回して改めて感じたのは「ホンダSはメカ頼みの重量級ではなく、系列モデルとの部品の共通化とか考える必要のなかった本田宗一郎さんが心を込めてベストスポーツカーに拘った車」であると再確認。フェラーリとかスーパーカーを除けばこんな贅沢なスポーツカーは他にはない貴重品ですね。

<本稿完>