Mic Sejaの小型高性能車シリーズ特04弾:1985年BMW M3 E30 2023-05-09公開
2023.5.14
Mic Sejaの小型高性能車シリーズ特04弾:1985年BMW M3 E30 ゲトラグ
1. BMWの車つくり
BMW と言う会社は「高性能」を追い求める姿勢、悪く言えば「日常を犠牲にしても高性能」と言うイメージを筆者は持っています。
つたない経験ではありますが1970年段前半に出くわしたBMW1502のトランクはリアのタイヤがしっかりとキャンバーを付けても当たらないだけの出っ張りに加え、リアショックのふくらみまであって、ゴルフバッグを積むことなど何も考えていないに違いないと思った次第。
*写真説明・・・・・左上:BMW2シリーズトランク、右下:トヨタ・コロナ・RT40トランク
2. BMW M3
M1
1970年代後半に、FIA グループ4/5参戦目的で開発されたBMW初のミッドシップモデルM1がBMW Mシリーズの初めで、当時のモノの本の評価では「BMW品質の高性能車なれど、イタ車に対し地味」と言った感じだったように記憶しています。
今回調べてみたら以下の様なバイオデータでした。
・1987年パリサロン発表、1980年ホモロゲーション既定の400台生産を達成。
・デザインはジウジアーロ
・エンジンはM-88直6DOHC クーゲル・フィッシャー機械式年燃料噴射
・公道仕様(277馬力)、Gr4仕様(470馬力)、Gr5仕様(ターボ850馬力)
蛇足になりますがヨーロッパでは「クーゲル・フィッシャーのメカ・インジェクションのサービスを売りにしているショップ」を見かけました。 メカ・インジェクションのモデルのオーナーはとっくにご存じだと思いますが。
*下の写真はミュンヘンのBMW博物館展示車
M3 E30:
FIAグループAホモロゲーションを目指し開発、“M“をBMW高性能車の象徴化したモデル。 先行したメルセデス・ベンツ190E-16対抗モデル。
バイオデータは以下の様でした。
・1985年発表、1986年から1991年まで2Drセダン17086台、2Drカブリオレ786台生産。
・エンジンはM-88の4気筒版、195PS、改良モデルでは215PS、最終年には2.5lへ拡大
・トランスミッションは「ゲトラグ」レーシング・パターン5速、「ZF」ノーマルパターン5速
*下の写真はミュンヘンのBMW博物館展示車
3. 試乗車:M3 E30 初年生産ゲトラグT/M
ウィンズ・オート尾張旭の店で試乗させていただいたのは35年以上の年齢とは思えないきれいな車で、ゲトラグのレーシング・パターン5速M/Tモデルで、オドメーターも2.4万キロの驚異的に若く、エンジンも本来の性能を維持していると思われる個体でした。
*サイド・ビューでは特徴的な大きなリフロント・スポイラー、アウィングとルーフ後端のスポイラーがホモロ・モデルを見せつけてくれます。
*フロントは大きなスポイラーが存在感を
*リアのウィング、ルーフ・スポイラー、トランク後端スポイラー、おなじみ“M“バッジ。
コクピット、仕事場!
*お約束の“M Power”ロゴ
*トランクもドイツ的に清潔。さすがにスペア・ホィールはトランク床面より出っ張っています。
*前後ブリスター・フェンダー、写真でもいるとすごくでかい、ホィールのネガキャンもきつい!
*フロントシート
*ゲトラグのレーシング・パターン5速T/M、クロース・レーシオの4速Hパターンの左下にエマージェンシー・ロー、その上がリバース。
*リア・シートもスッキリ。
*サン・シェードもあり。一万台以上売るためにはホモロ・モデルもそれなりの装備が必要なんでしょう。
*エンジン・フードは逆アリゲーター式、写真はドイツで見かけたものだったと思います。
*BMWと言えばエンジン!
*いろいろなところにM Powerのロゴ。現在では高級品質モデルとして定着したBMWも1970年代には急激な生産量の増大で品質問題を抱え苦労していました。1600あたりから品質にもめどがつきだしたものの、もう一歩アピールと言うのが”M”開発の動機ではないかと筆者は考えています。
*高性能エンジンを主張するマフラー、デフもアルミ・フィン。この写真でもリア・ホィールのネガキャンが目立ちます。
*スペア・ホィール、未だスペース・セーバー・タイヤは使っていません。
*車載工具もしっかりと。反対側はバッテリー。
4. ドライビング・インプレッション
とても短時間の試乗でしたのであまり多くを語れませんが、「よくも悪しくもレーシング・カーのホモロゲーション・モデル」が試乗しての感想です。エンジンは1650rpmくらいで片目を開け、4500rpm以上で両目が開きBMWらしい力がモリモリ!レーシング・パターンのゲトラグ5速との相乗効果で比較的曲率の高い(つまり遅い)日本の峠道ではあまり使い良いとはいえない感じ。ちょっと空いた道で頑張ってアクセルを強く踏むと急にワープ体験。この麻薬を味わってしまうと・・・・・免許証が沢山いるような気がします。
ボディー剛性もとても高く、強いキャンバーのついたホィールがしっかりと路面をトレースしてくれます。足がしっかりと仕事をしていて気持ちがよい!ファーム!
30年以上前の生まれとは到底思えないコンディション、魅惑の逸品です。でもどうやって遊ぶのかしら?クラシック・カー・レースに出るには若すぎるし、新車レースでは四駆・ターボの世界だし、筆者だったらどうしよう・・・・・なんて贅沢な悩みですね!
<本稿完>
最近の投稿
- Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第42弾:KP61スターレット
- Mic Sejaの小型高性能車シリーズ特06弾:2024年 GRMNヤリス
- Mic Sejaの小型高性能車シリーズ特05弾:1975年 Porsche 911
- Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第42弾:Jaguar Eタイプ
- Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第41弾:トヨタ パブリカ
- Mic Seaの小型高性能車シリーズ第40弾 : Renault Cing ルノー・サンク
- Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第39弾:トヨタ1600GT
- Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第38弾 : BMW700LSクーペ
- Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第37弾:マツダB360トラック
- Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第36弾 : Citroen 2CV