Mic Sejaの小型高性能車」シリーズ第33弾 : サーブ92 2023-04-23公開版
2023.5.10
Mic Sejaの小型高性能車」シリーズ第33弾 : サーブ92
〈パット・モス・カールソン〉
まだまだ自動車は特別なものだった時代、国道ですら舗装路が珍しかった道路事情に合わせ国産自動車はトラックに客室をくっ付けたようなモデルばかりだった時代でした。運転する人も男性主体で、女性ドライバーはまだまだ珍しい時代でした。
蛇足になりますが当時の徳大寺有恒さんの『間違いだらけのクルマ選び』でイスズがライセンス生産していたヒルマン・ミングスが女性向きと評価されていたのを思い出しました。
そんな中、海外ラリーのニュースがちらほらと聞こえてきた中にパット・モス・カールソンの活躍がありました。あの有名なスターリング・モスの妹で、これまた有名なラリードライバーのエリック・カールソンの奥さんと言うのも「やっぱり血筋か」と気になる人物でした。
兄スターリングがラリーシーンではオースチン・ヒーリーでの活躍が印象的でしたが、パットはサーブ乗りで名を馳せていました。旦那さんのエリック・カールソンの活躍に引っ張られた印象だったかもしれません。
(写真左上から、パット・モス、右上エリック・カールソン、右下兄妹)
〈サーブ92〉
*1949年から1956年生産
レースでの活躍は主に後継のサーブ93のものでしたが、前進のサーブ92にその骨格が現れています。手持ちの写真が92だったこともあり92主体のレポートをしていきます。
たった764ccのツーサイクル・2気筒・3速ミッション、日本でも初代パプリカがお手本にしたと言うDKWエンジンをお手本にしたと説明されています。
記憶ではモンテカルロやスウィーデッシュの様な雪上路面ラリーの活躍が多かったようです。
ここでまた蛇足話を一つ。先年。モンテカルロ・ラリー・ヒストリークを見に行ったときに、話を聞かせてくれたVWビートル使いのご婦人から聞いた話では、「スピードよりも雪道を登れるかどうかが勝負!FFのミニとかサーブ、RRならビートルとかポルシェが強いのよ。ダットサンZみたいな大馬力FRは全然登れないのよね!」
そのサーブは『優れた空力設計と軽くバランスの良いボディーと足回り』をうたい、徐々に販路を拡げていった様です。
第二次大戦で使った軍用車用の塗料が余ったので初期はグリーンのみと言うボディー色もカッコよくみえます。
空気を味方につけようとする造形!
飛行機屋さんにとってはタイヤも邪魔だったんだろうな!
コーダトロンカ以前のコーダトロンカ。
3速コラムシフト!
ウオーターポンプ無し!寒冷のスエーデンならではの仕様。サーブ93以降は北米輸出などを考慮してポンプ追加されたようです。
〈サーブ93〉
*1956から1960年・・・・・写真はラリー仕様
どこかのオークション会社の宣伝で見かけたサーブ93です。
エンジンが3気筒になったり、窓のグラフィックスが変わったり、でも空力・軽量・効率的の骨格は不変です。
〈サーブ96〉
*1960年から1980年生産
ライトが四角くなったりFordV4搭載モデルを追加したり。そう言えばフランスのマトラもFord V4を載せていましたね。
〈サーブ・ソネット〉
*1966から1974年生産
グラスファイバーボディーを被せたソネットもありました。
空力・軽量・効率的といえば、トヨタ・スポーツ・800が思い浮かびます。元車のパブリカが同じDKWエンジンをお手本に始まったという歴史も共通点もみられます。同じ飛行機をイメージしたデザインですが、スマートなイメージと厳ついイメージ、文化の差なんでしょう。
〈本稿完〉
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